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CRF250Rallyの考察1(エンジン)

CRF250Rally(MD44)のエンジンMD38のボア・ストロークから見た設計思想を想像してみました.

CRF250Rally(MD44)のエンジンMD38について

ボアとストローク

エンジンの特性を決定づける大切なピストンの断面積と移動量

ボアとはピストンの直径
ストロークとはピストンの移動量 単位はmm

ボアとストロークは、同排気量でボアが大きくストロークが短いショートストロークエンジン
ボアが小さくストロークが長いロングストロークエンジン
ボアとストロークが同サイズのスクエアーエンジンと簡単に分類されることが多い。

実際のエンジンをちょっとみてみよう

スズキGSX-S1000FのエンジンT719

pop-karaie(ポップーカライエ)こと自分が所有しているバイクにスズキGSX-S1000Fがあります。
このエンジンはT719で水冷、4サイクル、直列4気筒、DOHC4バルブでボアが73.4mm、ストロークが59.0mm(そして圧縮比が12.2:1)となっています。
ボアストローク比は0.80くらいとバイクだと一般的なショートストロークと考えます。

ホンダCRF250Rallyのエンジン形式はMD38E

一方、ホンダCRF250Rallyのエンジン形式はMD38Eで水冷、4サイクル、単気筒、DOHC4バルブでボアが76.0mm、ストロークが55.0mmそして圧縮比が10.7:1となっています。
ボアストローク比は0.72くらいとT719と比べるとさらにショートストロークに設計されています。

T719とMD38Eの性能を比べてみる

最高出力は大体T719が140PS/10,000rpmですが1/4すると250ccあたりの出力が約35馬力程度、そしてMD38Eが24PS/8,500rpmとなってMD38Eの単位排気量あたりの出力は小さいですね。
ここで注目してほしい部分はボア、ストロークという部分のストロークに関する部分です。
T719は排気量ぼぼ1,000ccでMD38Eがほぼ250ccということはT719が4気筒なので一気筒あたりの排気量はほぼ250ccということになります。
そうすると、T719もMD38Eの1気筒の排気量は大体同じということがわかると思います。
ボアストローク比でも述べた通りですが、単純にストロークを比べるとT719の59.0mmそしてMD38Eの55.0mmでRallyのエンジンの方がショートストロークということがわかります。
ピストンの移動距離がT719の方が長いということは、低回転域のトルクが高く高回転は苦手ということが言えます。
MD38Eはショートストロークなので、高回転域に余裕があると言えます。
ヤマハのセローのG3J9Eはボアが74.0mmでストロークが58.0mm、最高出力が20ps/7500rpm、圧縮比が9.7:1といずれも低めに設定されています。

ストロークはT719とほぼ同じですが、空冷ということもあり圧縮比はそれほど上げておらず、最高出力もそれほど高くはないですが、低回転からの扱いやすさを考えて設計されているのだと思われます。
MD38Eはホンダの250cc単気筒エンジンはロードスポーツやレブルなど汎用性を考えて作られているので、このストロークを採用しているのだと考えます。

オフロードバイクとしてのエンジン

ただ、林道のようなオフロードを中心に考えると、やはりストロークを伸ばして、低回転からトルクが発生したエンジンの方が扱いやすいと考えます。
結局、何が言いたいのかというと、最近のトレンドは燃焼効率や燃費を考えると、高回転の馬力をあげるよりも、実際の走行する回転域のトルクを向上させるためにボアを小さくして燃焼室を小型化することで熱効率を上げ、ストロークを伸ばしてトルクを稼ぐのがトレンドかなとは思っていました。
それなのに、このエンジンは意外とショートストロークなんだなと驚いたわけです。
レーサーのCRF250Rは高回転で高出力を狙っているので、79.0×50.9とボアストローク比は1.55とMD38Eの1.38よりもさらにショートストローク化しています。
そして、CBR1000RRのボアストロークは、何と、76mmX55.1mmでストロークが0.1mm異なるだけで、MD38Eとほぼ同じ、最高出力は192ps/13,000rpm、圧縮比は13.0というスペックでMD38EのエンジンはSC77Eを模倣したエンジンだったのかもしれないという結論に達した訳だ。

ただ、こうした基本的な設定よりも緻密に吸排気系をチューニングすることで扱いやすい良いエンジンにセッティングできるのであまり気にはしていないのですが、スーパーカブやヤマハではSR400などのように欠点を修正しながら熟成され、何年も使えるエンジンになると良いですね。

個人的なエンジンの好みは

個人的には、エンジンヘッドをコンパクトにしてもう少しロングストロークにしてエンジンの回転数を抑えた軽量でコンパクトなエンジンが好みだけどね。
さらに、8,000回転くらいならばDOHCはオーバークオリティなのでユニカムの4バルブでも十分だと思うし、3バルブの方がコストも少なくレスポンスが良いように思うけど。
クルマの世界では、ボアストローク比はスクエア(ボアとストロークの大きさが同じ)に近づいてきていると言われています。
バイクの世界では、まだまだ、高回転高出力が一般的であると、その方が楽しいのかもしれませんが、レースのように速さを競うのであればそれでも良いかもしれませんが、一般道を走行するのだから求めるエンジンはスクエアに近い方が、さらにロングストロークの方が扱いやすいのかなと思っていただけですが。

MD38Eの設計思想の弱点は

そして、MD38Eはショートストロークにも関わらず出力は8,500回転で24馬力程度なので、ちょっとちぐはぐさを感じた設計だなと感じたわけだ。
余力を残した24馬力と思うけれど、実際にはまだ、乗っていないのでなんとも言えないのが現状です。
このエンジンのポテンシャルはボアストロークだけを考えると、圧縮比を13.0(ガソリンはハイオクだね)まで高めて13,000rpmまで許容できれば48馬力を出力できるのかもしません。

想像でした

カタログを見ながらバイクのエンジンの基本性能を想像してみただけでした。
自分の希望を言えば、ギアチェンジは自動、オートマの方が素敵ですが。
歳をとるとギアチェンジがめんどくさいというか、クラッチレバーを握る握力がないというか、でもツーリングの時は発進と停車とローやセカンドのギアの時ぐらいしかクラッチレバーは握らないのですが。
最後は、めんどくせぇ根性のpop-karaieの思ったことで締めたいと思います。

同じ車体とエンジンを積んだCRF250Lの英語のサービスマニュアルのリンクです。
参考になりますよ。

CRF250ラリーのコンセプトが書かれたホンダのサイトのPDFです。

->2020/02に情報の追加をした。

MD38Eの出力特性のカーブに適当にメモリを入れてみた。

最大トルクは6,750rpmで2.3kgf・mと比較的、低い回転数で得ているが、そのあとは何故か急激に落ちているので、余計にパンチのないエンジンになっている。
3,000rpm辺りにトルクの大きな谷があるので、一定の走行では使えても、3,000〜4,000回転くらいでは、加速はしないと想像できる。
美味しい領域は、5,000rpmから9,000rpmぐらいが実用領域ではないかと推測しました。

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