センサーサイズ ( 1型 vs 1/2.3型 ) 対決
コンパクト デジタル カメラ => コンデジ は、スマートフォンのカメラに駆逐された感が強いです.
そこで、デジタルカメラメーカーは、スマートフォンにはない機能や性能をデジタルカメラに採用するようになりました.
一つは、高倍率ズーム機能を有するコンデジ
もう一つは、一眼レフカメラに迫る画質をコンデジで実現する方法です.
高倍率ズーム コンデジは、センサーが小さいほど、高倍率ズームレンズも小さく低コストで作る事ができます.
反面、暗いレンズと小さなセンサーのため、取り込む光の量が少なくなるので階調やノイズに弱くなり、画質の低下になります.
高級コンデジは、画質を良くする方法です.
高画質は、センサーサイズを大きくすれば良いのですが、カメラの本体も大きくなってはコンデジの意味は無くなります.
1型や APS-C あたりのサイズを採用することが多いです.
同一メーカーのコンデジで大小2種類のセンサーの画質を対決してみました.
巷で言われている、大きなセンサーの方が高画質であることには変わりないと思いますが、実際にはどの程度の差なのかな.
注意 ) センサーの大小対決ですが、今回用いたパナソニック製のセンサーは、MOS(Metal Oxide Semiconductor)センサーであり、CCD や CMOS とは少し異なります. 最近のデジタルカメラの主流は背面照射型CMOS なので、他のメーカーの高倍率カメラとは、結果が異なることがあると思います.
センサーサイズによる景色の画質
焦点距離 25 mm
風景の写真で2台のカメラの比較をして、両方の写真を拡大して見比べてみました.
撮影条件は、モードP フォーカスはオート
1/2.3型では、ISO 80 まで下げてノイズの発生を防いでいます.
W端付近では、画質の差はほとんど見られず、晴れた明るい景色では 1/2.3 型でも 1 型とほとんど画質の差は見られませんでした.
LUMIX の高倍率ズームレンズの特性かどうかわかりませんが、両方のカメラとも写真の左右の周辺部が解像できていないところが気になります.
TX1 はセンサーのサイズが大きい分、ワイド端では周辺の解像できていないのは、仕方ないのかもしれません.
空の階調に関しては、1/2.3 型は、なめらかさに欠けています. また、雲の描写もちょっと違いますね.
焦点距離 250 mm
1 型センサーカメラ LUMIX TX1 の最大焦点距離の 250 mm で画像の比較をしてみましょう.
焦点距離 250 mm でも 1 型 と 1/2.3 型センサーの画質の差はなさそうです.
1型センサーの方が、シャッタースピード等に余裕があるので、ブレづらいというメリットもあります.
次に、上の写真を部分拡大してみました.
下の写真で画質の違いが現れました.
瓦の部分には大きな差はなさそうですが、瓦の下の板の木目に注目してください.
焦点距離 250mm の画像の一部をクロップ
1/2.3型センサーでは、中央のやや上側の木目や後ろの鬼瓦がぼやけているように感じます.
焦点距離が少し長くなると、小さなセンサーでは解像度が低下する傾向にあるようです.
考えられることは、小さなレンズの加工精度の限界でしょうか.
ただし、単に個体差かもしれませんので悪しからず.
焦点距離 720 mm TZ95のみ
TZ95 は 1/2.3 型センサーを採用したコンデジなので、光学系で高倍率が比較的簡単に実現できます.
焦点距離 250 mm で撮影した画像のクロップした部分を TZ95 を使って焦点距離 720 mm で撮影すれば、高解像度で景色を切り取ることができます.
実際に撮影してみて、小さなセンサーで、ここまで高精細に写し出す事ができることに驚きました.
感度 ISO 80 を使うことができる明るさならば、1 型センサーと同等の画質かもしれないと感じました.
しかし、TZ95 で、より遠くのものを高倍率ズームで写すと、手ぶれや ISO 感度等の影響があるようで、解像できなくなる傾向がありますが、コンパクトカメラでこれだけ写れば良いですね.
近接撮影 センサーサイズの差
背景のボケとセンサーサイズには大きな関係があって、下の写真のような差が現れます.
絞りや焦点距離などの影響もありますが、単純に撮影して背景がボケやすいのは、センサーのサイズによるところが大きいと考えます.
センサーサイズの小さな 1/2.3 型の写真の背景は、少しボケていますが、被写界深度が深いと言えます.
反面、背景をボケさせないで撮影したい場合には有効です.
反対に、センサーサイズが4倍の 1 型センサーの TX1 は、背景がボケることで、クリンソウの花が浮かび上がって見えます.
TX1 の W 端 25 mm の絞りの開放値が f/2.8 なのでこれ以上の背景のボケは難しいですね.
さらに、背景をボカしたければ、フルサイズ一眼レフとF値の小さなレンズの組み合わせが必要となります.
画質の差を比較
晴天の風景で 1 型 と 1/2.3 型センサーの画質の違いはパッと見ただけではほとんどわからないと思いますが、実際にはどうだろうか?
青空と雲の不自然なノイズ
空の雲と青い部分がちょっとだけ、印象が違う程度ですが、
少し拡大してみると、1/2.3 型センサーの方の空の青い部分の画像にムラのようなノイズが発生しやすいようです.
画像のレタッチ等をされる方は、経験する事があると思いますが、青空のノイズは、レタッチをしていくと、よりノイズが強調される事が多いので大きなセンサーが有利に働くと考えます.
太陽光の影や画像の暗い部分の違い
写真の中の暗い部分は(鉄塔がわかりやすかな)、1/2.3 型センサーの方が、先に解像がなくなっていく感じです.
基本的にセンサーサイズが大きい方が豊かな階調を持っているということだろうか.
カメラ内部の設定によっても結果は異なってくるだろうと思いますが、センサーサイズの違いによる傾向だと理解しました.
まとめ
コンデジのセンサーサイズによる画質の差を検討したところ
小さな 1/2.3 型の画像素子のカメラでも、明るい場所での撮影時は、画質の差は大きくないという結論になりました.
ただ、問題となる部分もあります.
- 小さなセンサー 1/2.3 型 では、空などの、なめらかな階調は難しい.
- 小さなセンサー 1/2.3 型 では、近接撮影で背景のボケが難しい.
- 小さなセンサー 1/2.3 型 では、画質を維持するには 感度 ISO を80 を使う必要がある.
- 高倍率ズームレンズは F値が大きく暗いレンズになる.
1 型の画像素子の場合
- コンパクトカメラの 1 型センサーの高倍率化はレンズも実質的に焦点距離を伸ばす必要があるので小型化が難しい.
十分な明るさと静止した物を撮影するのであれば、1型と1/2.3型のセンサーサイズの画質の差は少ない事が発見できました.
LUMIX TZ95 の光学 30 倍は魅力的で、綺麗な写真だけではなく、何が写っているのか見えるという魅力があります.
1/2.3 型 MOS を採用して小さなレンズで高倍率ズームを実現するのは、レンズの精度を上げるのは難しいみたいで、高倍率になるほど、解像度は下がる傾向があるようです.
ただ、デジタルズームやクロップよりも光学ズームの方が綺麗に写る傾向があります.
また、光学ズームレンズは単焦点レンズのようなキレのある写真にはなりませんが、いろんなものが撮影の対象物となるズームレンズは、旅行カメラとしては最適だと思いますが、皆さんどうでしょうか ?
今回は、センサーサイズによる画質の差について検証してみました.
大きなセンサーに目が行きがちですが、小さなセンサーでも、結構、上手く写るんだなと感心しました.
バカチョンで高画質ならば、スマートフォンが便利ですが、ちょっとめんどくさいですが、コンパクトデジタルカメラの豊富な機能を使いこなせれば、面白い写真を撮れる可能性があることが、理解できました.
でも、高品質な写真が必要な方は、やはり、フルサイズ一眼レフを使った方が幸せになれるように思います.